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けしごむ

 紙媒体がデジタル化され、「切り取り」や「やり直し」が簡単に出来る昨今、自分の存在価値を少し考えてしまう。きっと実際に書くために存在する彼らも少なからず感じている不安だろう。それでも彩鮮やかなインクや洒落た形で気を惹こうと奮闘している。かく言う私も、白くて四角い形状だけでなく、いつでも新鮮な消し心地を堪能できる細いノック式や、おもちゃのような形が生まれた。一方、鉛筆の端に鎮座している私もまだ健在だ。


 「消しゴム」

 そう呼ばれている私だが、実はだいぶ前からゴムではなくプラスチック製が殆どで、「字消し」が現在の名前だ。消せるものはもっぱら鉛筆で書かれたものだが、印刷された文字も消せたら面白そうだ。どうせなら、今あなたが読んでいるこの文字さえも。


 文字があるとつい読んでしまう。興味深い内容なら尚更だ。理解したくてどんどん読み進めてしまうだろう。もし、ふと疲れを感じた時、私を思い出してくれたら嬉しい。

 たくさん頭に書き込んだ情報を一旦消して無心になれば、再開した文章には目新しさが上書きされているかもしれない。

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